あっというまの8月。
全然更新せず大変申し訳ありません(涙)
「更新しないんですか?」という声をいただいて、記事を読んでいる方がいると実感しとてもありがたい気持ちでいっぱいです。
今回はリハビリ回。ご容赦ください~(次回からがんばります)
北海道でもエゾゼミが鳴き狂っていて絶賛夏の真っ最中だと思いますが、
筆者はすでに夏の終わりが見えていて悲しくなっています。
いやいや早いでしょと思われるかもしれませんが、
とくに北海道では本当に一瞬で秋になり冬になってしまうんです!
まだまだ「時をかける少女」的世界観で過ごしていたいので
今のうちに夏を楽しみつくそうと、奔走しております~
ちなみにですが、このブログを始めて早3年ほど経とうとしております。はやいですね~
読んでくれているみなさま、ありがとうございます😊
この冒頭で自由に筆者が書きまわしているコラム的なものが意外と好評(?)でしたので、
今回は(も)少し木材から離れて、ちょっと雑学的な小話をしようかなと思います。
最近は森側にも携わる機会が多いので、森にかかわるお話を。
みなさんは木や植物の不思議な力「アレロパシー」という言葉を聞いたことはありますか?
アレロパシー(Allelopathy)
「他感作用」と呼ばれる、植物や木が生産する特殊な物質(アレロパシー物質)が他の生物(同種・異種問わず)に与える作用効果のこと。
他感作用?と言われても中々わかりづらいですが、なかなか面白いのです。
例をご紹介します。
セイタカアワダチソウは、過去にアメリカから観賞用に輸入された後、そのまま日本でも繁殖し各地で見られる帰化植物です。(北海道では札幌周辺に集中しているそう)
秋ごろに小さな黄色い花を多数咲かせます。
セイタカアワダチソウの「アレロパシー」は、「周辺に生えている植物に対し、生育を抑えるような効果を与えること」です。周辺の植物を衰退させ、自身をの群落を拡大し繁栄させます。
根からアレロパシー物質を出していると考えられています。
面白いと思ったのは、セイタカアワダチソウは自身のアレロパシーによって、最終的には自分自身の成長阻害をしてしまい、自滅していくことです。(段々とススキの群落に負けていくそう)
諸刃の剣というか、セイタカアワダチソウのこの不完全な感じが、不覚にも好感をもってしまいます。
リスの大好物でおなじみのクルミの実をつけるオニグルミの木。
クルミの木も「アレロパシー」があるとのこと。
クルミの生えている林床(木が生えている地面部分)では、他の植物が生えにくくなることがわかっています。
研究によるとオニグルミは、侵略的外来種のひとつである「ニセアカシア(ハリエンジュ)」の成長を阻害することが分かっており、オニグルミが生える場所ではニセアカシアが侵入しにくい理由のひとつとして考察されています。
オニグルミがもつアレロパシー物質は「ユグロン」と呼ばれるもので、葉・根・枝などに含まれ、特に根に多く含まれるようです。
林業の界隈ではこのアレロパシーが経験則で知られていたらしく、他の木が生えにくくなるためオニグルミは嫌われていたそう。
今まで知りませんでしたが、個人的にクルミの木はとてもダイナミックで、その他大勢というよりは目立つメインキャラクターのような印象に残りやすいイメージがあります。
これは他を抑えるアレロパシーが起因で、主張が強く感じられるからなのでしょうか?
このように特殊な物質を出すことで、他種に影響を与えます。
今回ご紹介したものは、すべて他種の成長を抑えるネガティブな効果でしたが、必ずしもネガティブ効果だけではないようです。
良くも悪くも、周りに影響を与えるもの、ということです。
アレロパシーに関する研究はさまざまに行われていますが、アレロパシーが発現される条件などがあり、いつでもどこでも同じように力が発揮されるわけではないようです。
分かっていないことも多くミステリアスな力ですが、これまで経験則でこの現象が発見がされているというのは、とても驚きます。
観察力がとても優れているし、自然をよく見ているなと。
コナラでもアレロパシーが確認されているとのことで、同じようにどんぐりをつけるブナ属ミズナラにおけるアレロパシーも予測され、詳しい内容が気になるところです。
植物は話をできませんが、今回のアレロパシーをはじめ、目に見えないさまざまな物質を介して影響を与え合い、時には情報伝達を行っています。
寡黙で話さない植物や生物たちも、自然の中で互いに影響を与え合い、種間での相互作用が無限に起こっていると考えると、われわれ人間社会と同じようで、親しみや驚きを感じませんか?
自然は単なるモノではなく、それぞれが独自の方法を編み出しながら生きていて、私たちと同じように自身とは別の存在と常に影響を与え合い、生を営んでいるということを改めて感じます。
関係ないと思っているものどうしであっても、知らず知らずのうちに影響を与え合っているのです。
そう考えて森や自然の中を歩くと、色んな声が聞こえる気がするかも。