倒木更新

2021年10月29日

」と聞いて頭に浮かぶ光景。
人それぞれ、思い浮かべるイメージは異なると思います。
皆さんの中で、森林のどこか良いなと思う光景などはありますか?
筆者は、昔から心惹かれる現象があります。
その一つが倒木更新です。

倒木更新 とは?

寿命や天災などにより倒れた木を基礎として、新たな木が育つこと。
針葉樹(エゾマツ・トドマツ・スギ等)に多く、広葉樹のブナなどでも見られる。

倒木からマツの稚樹が生えてきているようす

実際にご覧になったことはありますか?
倒木に苔が生え、様々な植物の芽が生えてきているようすは、神秘的で美しいです。

小さな芽が生えて始めているものは、生命の息吹のようなものを感じさせますし、
完全に成長しきって、大きな根を倒木上に張っているものは、前世代の全てを利用し生きている、自然のどっしりとした力強さのようなものを感じます。

どちらにせよ、倒木更新というものに、強く美しい生命を感じるのです。


さて、そうした筆者が魅力を感じる倒木更新。
倒木にどんな意味があるのか少しご紹介。

基本的に針葉樹の稚樹(木の赤ちゃん)は様々なものに弱いです。

弱点 × 日光不足(ササなどに遮られる)
× 雨で稚樹が掘り起こされやすい
   × 土中の菌類に侵食されやすい  など

地面に落ちた種や稚樹は、こういった要因で死んでしまうことが多いです。
倒木は、稚樹が死から逃れられる好条件を作ってくれるのです。
まさに木にとっては助け舟となる存在ですね。

倒れてしまった木が、また新たな木の命が宿る場となる。
木という存在が一瞬たりとも無駄なく、邪魔となることなく一生を全うするという事実に
改めて感心、感動に似た感覚を覚えます。

朽ちていくその様子さえ美しく心惹かれます。

倒木更新の利点をまとめます

利点     ✓ ササや植物に日光が遮られるのを防ぐ
 雨の掘り起こしが起きない
 土中の菌類から避難できる
 ✓ 倒木表面のコケが湿度を保つ
 倒木が養分の供給源となる

こうした良好な環境である、倒木上にちょうど種が落ち、条件が揃うと発芽し更新が起きます。
考えると、とてもラッキーな種ですよね。

 

人の手があまり加わっていない天然林で、一直線に木が生えている場合、
倒木更新が起こった、ということが読めます。
ちょっとした状況から森の変遷を知れるというのは、面白いなと思います。

 

もし森など散策する機会があれば、ぜひ探してみてください。

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