心材と辺材

心材と辺材

木ってどんな風に出来てるんだろう。考えたことはありますか?
輪切りの木って由来通りバームクーヘンみたいですよね。

そんな輪切りの状態で見た時に、
真ん中だけ色が違うものって、見たことありますか?

詳しく見ると違いがあり、それぞれ機能があって面白いんです。
木の中身を見てみましょう。

基本構造

外樹皮
一番外側の皮。皮の模様や硬さ、剝がれやすさなど、種類によって全く異なる。
内樹皮(篩部)
外樹皮の下にある薄い皮。葉でつくられた養分を運ぶ機能がある。
形成層
細胞が分裂し、新しい細胞が生まれてくる場所
辺材(白太)
木材の外側の部分。形成層から作られた新しめの細胞で構成される。水や養分を地上から枝葉まで運ぶ機能がある。
心材(赤身)
木材の内側の部分。着色していて分かりやすいものと、色の差がなく分かりづらいものがある。

心材と辺材のちがい

心材(赤身)

  • 辺材部が死んだ「死細胞」で構成(安定した成分「リグニン」が蓄積され木を補強する)
  • 通道機能はない
  • 着色されているもの、されていないものがある(樹種によって心材に含まれる物質が異なるため)
  • 含水率は基本低い
  • ~15年輪くらいまでは「未成熟材」で構成される(強度が小さい)

辺材(白太)

  • 生命活動が行われる、新しい細胞でほぼ構成
  • 水分や養分を地上から枝葉まで運ぶ通道機能がある
  • 基本白っぽい色をしている
  • 含水率は基本高い
  • 「成熟材」で構成される

★未成熟材

0~15年くらいまでの、木が幼樹で安定していなかったころに形成された材。強度が小さい。
木が成長し大きくなっても、そのころのに形成された部分は未成熟材として心材部に残っている。

★成熟材

上記以降に形成された部分。木としてしっかりと安定した材となっており、強度が大きい。

一般的に強度は辺材<心材といわれますが、一概には言えません。基本的に心材の導管の細胞壁には「リグニン」が蓄積され、コンクリートのように補強されていて強く安定していますが、心材の0~15年輪くらいまでにある「未成熟材」部分(初期に成長し細胞が形成された部分)が強度が弱く、未成熟部の年輪幅が広かったり未成熟材部分の割合が多い状態になると、心材部であっても強度が弱くなります。
トドマツ
トドマツ
ヤチダモ
ヤチダモ
シナノキ
シナノキ
マカバ
マカバ

心材部がはっきりわかるくらい濃く着色されているものから、全くわからないものまで様々です。
色味も茶色、黒色、灰色、緑色、赤茶など、樹種によって変わります。
心材だけではなく、内樹皮部分が着色されている樹種もあります。(キハダ)

偽心

イタヤカエデの偽心

その名の通り「偽物の心材」である「偽心」というものが存在します。
本来心材が着色されない樹種でも、あたかも心材のように着色された「偽心」があらわれる場合があります。
偽心が形成される要因はさまざま考えられ、明確なものはわかっていないようですが、外的な要因で傷ついたりした際に、守ろうと防御作用が働いて、それにともなって着色物質を生成するためではないかと考えられているようです。
外傷したところから酸化するため、という推測もあります。

<偽心が出やすい樹種>
シラカンバ/イタヤカエデ/シナノキ/ブナ

源平

ひとつの製材上に「赤身」と「白太」が両方ある場合の板を 「源平」と呼んだりします。
ミズナラ製材

これまで源平のような材は
その色の差などから好まれず、ランクの低い材とされました。
また、偽心のある材も同様に好まれない傾向があります。
※エンジュなどは、心材と辺材の色のコントラストが逆に好まれます。

しかし資源の減少により、
赤身のみが取れる材や、偽心を含む欠点が全くないような質のいい材は少なく、
中々とれない、貴重な存在となりつつあります。

「これまで」の見方に囚われず、
今あるものを人間側がどのようにとらえ、考えて使うか。
木と真剣に向き合うべきと考えます。